健全チラ裏読書メモ 9
- 2014/10/14
- 01:54
永山薫『エロマンガ・スタディーズ』(ちくま文庫) (健全チラ裏読書メモ 8 の続き)第二部 終章「浸透と拡散とその後」90年代中期以降のオタク文化の状況は、美少女系エロ漫画に多くプールされていた「萌え」感覚の浸透と拡散と捉えられる。「萌え」の代表選手として、ぱらスィー『苺ましまろ』が挙げられている。ここでは大きな事件も起きず、切実な問題も存在せず、読者はただただ可愛い少女たちの無限に引き伸ばされた日常を...
健全チラ裏読書メモ 8
- 2014/10/10
- 03:16
永山薫『エロマンガ・スタディーズ』(ちくま文庫) (健全チラ裏読書メモ 7 の続き)第二部 第七章「ジェンダーの混乱」この章では「シーメール・フタナリ・女装(異性装)・ショタ・性転換」などについて論じられている。「これが他の“エッジ発→浸透・拡散”と違うのは“男性キャラクター(遺伝子的)”をも欲望の対象としている点である」と著者は強調している(※1)。男性への欲望を含むエロ漫画の貸本時代の古い作品として、臣新...
健全チラ裏読書メモ 7
- 2014/10/04
- 13:31
永山薫『エロマンガ・スタディーズ』(ちくま文庫) (健全チラ裏読書メモ 6 の続き)第二部 第六章「SMと性的マイノリティー」章の冒頭では、「我々のセクシュアリティとエロティシズムは流動的で重層的で多義的でエネルギーに満ちたマグマである」とし、「この灼熱のマグマが地表に噴出するのを抑制し、制御してきたのが男性優位の異性間性愛をスタンダードと定め、婚姻による家族制度を国民国家の礎とする近代のパラダイムであ...
健全チラ裏読書メモ 6
- 2014/10/02
- 23:26
永山薫『エロマンガ・スタディーズ』(ちくま文庫) (健全チラ裏読書メモ 5 の続き)第二部 第五章「愛をめぐる物語」(※1)恋愛系というジャンルがあるわけではないが、石井隆など三流劇画以降、恋愛がクローズアップされ、ロリコン漫画から美少女系では大きく扱われるようになる。恋愛ミームの供給源としては、少女漫画の乙女チックラブコメ、少年漫画のラブコメなど。80年代ラブコメブームの時代には、ひろもりしのぶ(みやす...